相続税の申告及び納付は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
相続は相続人が集まれなかったり、分割がまとまらなかったりなど、何かとバタバタしてしまい、気が付けば申告期限の間近ということもあります。
そうならないためにも、まず相続が発生したら、申告までどのような作業があって、いつまでに進める必要があるかなど、把握して準備しましょう。
1.相続の開始
相続税の申告及び納付は相続人の死亡により発生します。
被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告及び納付をしなければなりません。
例えば今年の11月20日に亡くなった場合には、相続税の申告及び納付は、来年の9月20日となります。
2.遺言書の有無を確認
まずは、遺言の有無を確認してください。遺言があるかないかによって、その後の相続の手続きが大きく異なるためです。
遺言がある場合には、基本的に遺言に従って遺産分割が行われます。遺言書がない場合には、各相続人が集まって遺産分割協議をすることによって遺産分割が行われます。
被相続人が亡くなる前に遺言書を残しているケースがあります。その場合、「自筆証書遺言」か「秘密証書遺言」であった場合には、家庭裁判所にて検認の手続きを受けなければなりません。検認前に開封してしまわないように注意してください。
遺言と遺留分について
3.相続人の確定
遺言書がない場合には、まず誰が相続人であるかを確定させる必要があります。これは遺産分割協議を行うためにはすべての相続人が集まる必要があるためです。
そのため、被相続人が生まれてかた亡くなるまでのすべての戸籍謄本を確認する必要があります。相続人全員がそろわない遺産分割協議は無効となります。
4.相続放棄・限定承認<3か月以内>
相続財産は、現預金や不動産などの正の財産ばかりとは限らず、借金などの負の財産が含まれている場合もあります。
このような場合、借金などの負の財産を相続したくない場合に、相続放棄や限定承認と呼ばれる方法でその負担を回避することができます。
相続放棄は、すべての財産を相続しないので、正の財産をもらえないかわりに、借金などの負の財産を背負うことも無くなります。
限定承認は、正のの財産の範囲内で負の財産承継するということです。つまり負の財産が正の財産を上回っている場合には、相続は発生しません。
相続放棄をする場合や限定承認をする場合には、相続の開始を知った日から3か月以内に相続放棄申述書又は相続限定承認申述書を提出する必要があります。
5.被相続人の確定申告<4か月以内>
各相続人は、それぞれ、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に、その亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得について、所得税の申告及び納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
一般的に、各相続人が連署により一つの申告書で準確定申告書を提出しますが、他の相続人の氏名を付記することにより、各相続人が別々に提出することも可能です。ただし、この場合で提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知する義務があります。
6.相続財産の調査及び評価
被相続人の財産を漏れなく探さなくては遺産分割協議が進みませんので。現金・預金・株式・不動産など心当たりがあるものを片っ端から調べましょう。
被相続人の自宅の書類や、パソコン、郵便物など手掛かりになるものをくまなく調べてください。
土地については評価が難しいため、専門家に調査をお願いしましょう。
7.遺産分割協議書の作成
財産の調査及び評価が終わったら、それに基づき遺産分割協議書を作成します。
分割の方法によってそれぞれにかかる相続税が変わるため、納める相続税の返済額・返済方法などについて配慮して、分割を行いましょう。
8.相続税の申告及び納付<10か月以内>
計算の結果相続税が発生する場合には、期限内に申告と納付を行いましょう。申告及び納付先は被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に行います。
納付期限を過ぎた場合には、別途加算税や延滞税か課されます。相続税が大きい場合、加算税や延滞税も高額になりますので、くれぐれもご注意ください。
まとめ
相続が発生したら、遺言書の検認、相続人調査、相続放棄・限定承認、相続財産調査、遺産分割、相続税の申告などさまざまな手続きが必要になります。
期限を守らないと受けられなくなるものも多いため、まず期限を意識して行動しなければなりません。
わからないことは専門家に聞きながらスムーズに相続手続きを終えましょう。